新着情報とお知らせ
締め付ける力と締め付けられる力
2021-07-17
「ボルトにナットを締め付ける」という作業。
締め付ける力のことを「トルク」と呼びます。
では、ナットにトルクをかけ続ける、すなわち締め続けるとどうなるでしょうか。
ナットを締めれば締めるほどナットがググっとめり込んでいって結果的にガッチリ締まった、というような感覚を持ちますよね。
でも実際はナットがめり込んでいくのではなく、ボルトが伸びていくんです。
そして伸びたボルトは、バネのように元に戻ろうと縮んでいく「引っ張り力」が働きます。
この引っ張り力→締め付けられている側の力を「軸力」といいます。
しっかり締まっている状態 とは かけたトルクにより軸力が効いている状態 のことをいいます。

ボルトにもナットにも標準軸力が存在します。すなわち適切な軸力があります。
それは材質や太さによって異なります。
本来であれば軸力を管理したいところですが軸力の測定は難しいため、トルクを管理しています。
安定した軸力を働かせるには、ボルト・ナットの整備も必要です。
例えばボルト・ナットに油を塗布しないで繰り返し使用すると軸力はわかりやすく低下します。
油もモリブデンが入っていると軸力が効きすぎてボルトの折損といった不具合が生じます。
サビやゴミの付着も軸力が低下する要因です。
締付作業において大切なことは、
軸力が低下していないボルト・ナットを使用し、適正な油類を塗布し、適正なトルクで締め付けるということです。
これでほぼカンペキ。
適切な軸力を与えれば締め付けた物と物はそうそう緩みません。
そのようなことを念頭に本日も様々な事情を抱えた車両をお迎えして、真摯に、熱心に作業しております<(`^´)>
長々と読んでいただいてありがとうございました<(_ _)>